遠くない未来のことだった。 ある時期から、鳥が異常な行動をしたり、心臓ペースメーカーが誤作動するなどの怪現象が、世界各地で起きるようになる。 なぜかは分からないが、地球の核(コア)が、回転を停止したため、電磁場が乱れたのだった。
映画 『ザ・コア』(2003年)で描かれた、地球のことである。
|
|
|
ギュスターヴ・ホルスト(1874-1934)作曲
組曲 「惑星」より 火星 |
|
|
|
地球の核(コア)は、ほぼ鉄でできていて、内核と外核に分かれている。 内核は6,000度を超える高温。 地球の重みで大圧力がかかり固体の状態でいるが、その周りの外核は液体状態である。 そして、コアは、時速1,600キロで回転している。
このコアの周りには、ゆっくりと対流する固体のマントルがある。 さらにその周りには、地殻があって、その上に、わたしたちが住んでいる。 地球の内部が熱いことは、温泉が湧いてくることや、時折起きる火山活動などで、体感されていることだろう。
さて、コアの回転であるが、この運動によって、惑星地球の上空には、電磁フィールドが、形成されている。 これが、よく言われる、お肌に危険な紫外線、どころの比ではない、太陽からの放射線を、防いでくれている。 わたしたちは、このフィールドのお陰で、安全に暮らしていられるのである。
よって、回転が止まり、この電磁フィールドが失われるということは、人類の滅亡を、意味していたのだ。
この大危機の解決のために、物理学者や宇宙飛行士など6人の男女が、新開発の地底船に乗り込み、コアへと向かう。 そこに到達できたなら、強力な爆弾で弾みをつかせ、コアを再び回転させようという計画だ。
大業とは、大概がそうだ。 実際に、地中へと潜ってみると、次々とトラブルが発生してくる。 だが、乗員たちは、それぞれが持つ、専門分野の豊富な知識と、機転と勇気とで、乗り越えることを試みるのだった。 果たして、計画は成功して、人類は救われるのか...
2004年9月1日、軽井沢の近くにある浅間山が、およそ20年ぶりに噴火した。 奇しくも防災の日であったので、何やら気になる方も、多いことだろう。
それから、ひと月後の10月1日、アメリカ・ワシントン州のセントヘレンズ山が、やはり20年ぶりくらいで噴火した。 前回は、山頂付近が400メートルにも渡って崩れ落ちる、強大なものだった。
だが、普段は閑散としている、このセントヘレンズ山の周囲に、なんと今、ひとが押し寄せているという。 自然が引き起こす、大スペクタクルに、ロマンを大いに、見出しているからである。
冒険的行動の是非はあるところだが、背景には、精神的な楽観が、あるのだろう... Page
Up
|
|
|
(C)
柳澤 徹 長野・軽井沢 2003・11 #1 CG |
|