古今東西を巡る総合芸術表現シリーズ 世界芸術列伝 第132話 2004/05/06公開 |
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■ 2004年5月、EU 欧州連合が拡大した。
喜びのインタビューで、市民のひとりが、「お互い助け合う仲間が増えるのは、良いことだ」 と言っていたのが、とても印象的だった。
今次の新加盟は、主に東欧諸国。 15年ほど前までは、共産主義をとっていた国々だが、そんなことも遠い昔のように感じる。 それはここ数年で、意識的なレベルにおいても、これらの国々が自由主義の社会に、馴染んできたためであろう...
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ソビエト連邦 国歌 1944-1991 メロディは、2000年よりロシアの国歌に使用されている。
作曲:
アレクサンドル・バシリエビッチ・アレクサンドロフ 作詞: セルゲー・ウラディミロビッチ・ミハルコフ、ガブリール・エリ・レギスタン 演奏:
モスクワ ボリショイ劇場 1977年 リンク先:
ibiblio
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1991年に70余年の歴史を閉じたのは、ソビエト連邦だった。 ひとの向上心というものを削いでしまう仕組みを内包していたことが、その最大の原因だと考えられている。
だが、それに到るまでには、ほかにも複合的な要因があったことは、どの崩壊の事例にも、みられることである。
安全保障の側面からみると、それまで世界は、冷戦という時代にあった。 米ソの大陸間弾道核ミサイルが対峙し、お互い手を出すことができないという、危うい均衡によって、そこそこの平和が保たれていたのだ。
とはいえ、このような一触即発の状態は、一般市民が心底、安心して生活を営むのには、適切なものではない。 そこで、弾道ミサイル自体を、もはや意味のないものにしてしまおうとして、1980年代に米レーガン政権が進めたのが、SDI戦略防衛構想だった。
大陸間弾道ミサイルとは、まず大気圏外まで飛んでいき、空気抵抗のない状態を高速で進んでから、重力に引かれながら、落ちてくる。 それならば、あらかじめ人工衛星を配置しておき、やってきたらレーザー光線で、破壊してしまおうという構想だ。
仕組みは異なるものの、松本零士の『宇宙戦艦ヤマト』(1974年)の第7〜8話で登場した、冥王星ガミラス基地の、反射衛星砲を思い浮かべてみれば、その壮大なイメージが、湧くかもしれない。
つい反射衛星砲のことを、引き合いにだしてしまうほど、このSDIには、やや荒唐無稽なイメージもあったことは、否定できない。 支出される予算が大きかったこともあり、多少の皮肉混じりに、「スター・ウォーズ計画」
とも呼ばれた。
しかし、計画が進みだすとソビエト側は、かなり真剣に受け止めた。 やがて、自らの核ミサイルの削減と引き換えに、SDIの計画の取りやめを、主張するようになる。
結果としては、技術面の困難から、完成しなかった計画ではあったが、奇しくも、冷戦の終結を、早める要因のひとつとなった。
かつて、この計画の一部に参加していた、優秀な日本人科学者がいる。 冷戦終結後の90年代後半に、ドイツへと赴き、わたしたちの生活をより便利なものにするための、民生用の研究をするというので、実務レベルで、お世話をしたことがある。
ある日、日本に送られきたドキュメントをチェックしていて、気になることがあったので、国際電話をかけて聞いてみた。 支出の項目に、借りている部屋の掃除代があったからだ。
科学者といえども、部屋の掃除は自分でするべきものと思ったのだが、ドイツでは、部屋の中のクリーン度を保つことに厳格で、自ら掃除はするものの、借家の場合、専門のひとによる定期的な清掃を入れることが、法律で義務付けられているそうなのだ。
たしかに、ドイツの町は、全体的に清潔感がある。 訪れたのは南のほうだけではあるが、たとえ繁華街であっても、ゴミなどが落ちているのを、見かけたことはなかった。
イギリスの作家、H.G.ウェルズが、1895年に書いたSF小説に、『タイムマシン』がある。
このタイム・トラベルものの古典的名作の情感を、ウェルズのひ孫が、忠実に映画化した『タイムマシン』(2002年)は、ご覧になられただろうか?
時は1899年、場所はニューヨーク。 科学者のアレクサンダーは、強盗に遭い、恋人の命を奪われてしまう。 彼は、過去へと時間を遡り、その状況を変えることで、起きてしまった悲劇を回避しようと、決意する。
そして、時間を行き来できる機械、タイムマシンの製作に4年間没頭し、完成させる。 その間、彼の身の回りの世話をしたのは、ドイツ系の雰囲気のある、実直な家政婦だった。
そういえば、ドイツ人女性と結婚した知人がいるが、これらのことからすると、彼の家の中は、いつも、さぞかしきれいに、片付いていることだろう... Page
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(C)
柳澤 徹 ドイツ 1998・11 #48 ローテンブルク
ii CG |
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定期的に公開しております「世界芸術列伝」は、固有の感性により、総合的な芸術表現を行っているものです。 しかし、その時々で扱ったテーマや言及が、未来の表出を予言してしまうことが、なぜか、しばしばあるようです。
本文公開から ひと月後の 2004/06/05
に、ロナルド・レーガン元米大統領が亡くなられました。 ご冥福を お祈りします。 |