古今東西を巡る総合芸術表現シリーズ 世界芸術列伝 第131話 2004/04/26公開 |
|
|
■ ドイツが産み出してきた文化には、堅牢と表現すると、ピッタリくるものがある...
|
|
|
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)作曲
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61 |
|
|
|
|
|
|
(C)
柳澤 徹 ドイツ 1998・11 #47 ローテンブルク
i CG |
|
アメリカ的なものが、変化を追い求めることで成長しようとするのとは対照的に、ドイツ的なものは、確固たるものを組み上げることで、持続性のある繁栄を目指す。
このヴァイオリン協奏曲ができてから80年あまり後の1890年に、南部の町、ミュンヘンにおいて、保険会社アリアンツが誕生した。
ドイツの産業革命の第2段階の波に乗りながら船出したこの会社は、保険引き受け事業を、手堅く展開していく。 そして、時を重ねるごとに、着実な成長を遂げて、今や世界有数規模の保険会社となった。
そのグループ資産は、かつてこの会社を産み育てたプロイセン1国のものに、匹敵するという。
しかし、そのような驚くべき規模のわりには、わたしたちには、それほど知られていない。 それは、事業の5割をドイツ国内、3割をヨーロッパ諸国で堅実に行い、分かりにくい海外への進出には、あまり積極的ではないためだ。
今日の時代、グローバルな展開を控えめにしていても良いのかと、日本からみれば、すこし不思議な感じがする。
だが、たとえば生命保険など、長い期間の契約の話になると、ドイツのひとたちには、極端に保守的になる気質があるのだ。
たとえ他に保険料が安いものがあったとしても、やっぱり、確固たるものと、契約したがるという。
この気質にも助けられ、国内マーケットを、ガッチリ掌握しているアリアンツは...いやがおうにも、堅牢なのである。
■ 追伸1 さて、ドイツお隣の国のひとつに、ポーランドがあります。 ルネサンスの時代から文化の華が膨らみ、特に、19世紀のロマン主義の時代、文学と音楽が跳躍しました。 その成果のひとつが、国際的にも活躍した
ピアノ音楽家、フリデリク・フランツィシェク・ショペン (フランス名:フレデリック・フランソワ・ショパン)...
首都ワルシャワにおいては、5年に1度、「ショパン国際ピアノコンクール」が開催。 このたび
2005年10月、関本昌平さん、山本貴志さんが、4位に入賞されました。 おめでとうございます。
筆者が、コンピュータ関連の設備投資を始める以前、1990年代半ばに 百万円近くを投入したオーディオ装置(幸いなことには今も健在※)にて、放送で伝えられた、山本さんの演奏を、拝聴いたしました。 「ポエムが、キラキラと、輝くような演奏」でありました。
作曲家の魂を、想像力豊かに憑依(ひょうい)させるのが、この域の演奏の秘訣でありましょう。 そして、聴くひとの感性を揺らす残音の重なりまで、よく吟味された、鍵盤タッチの技術、すばらしいです。
※今風にいう「こだわり消費」ですが、オーディオにドーンと使うのは、当時ある程度の規模で見られた現象でもあったのではないでしょうか。 しかし、その後、ひとびとのこだわり的な興味は、パソコンへとシフトし、頃を同じくして、日本はデフレ時代へと突入していきました。 高品質スピーカー・ブランド「ダイヤトーン」(三菱電機の一事業)は、カーオーディオ向けを除いて生産を中止し、高級アンプ・ブランド「ラックスマン」は、カーオーディオ・メーカーと合併しました。
しかし、その時代に行われた、日本のさまざま分野における不断の改革は、やがて、横すりあわせを文化的な強みとする、お家芸的製品群、デジタルカメラ、DVDレコーダー、薄型テレビ、いわゆる「デジタル
新・3種の神器」として結実し、今でいうBRICs自体に、その工業化の進行により消費市場が芽生えたことや、銀行の不良債権処理の進行など、多様な分野の改善効果も得て、2003年日本は、劇的なトレンド反転を成したのでありました。
さて、低音域・中音域・高音域のバランスがとれた、かのオーディオ・システムは、音楽を感動的に、映画を迫真的に、好きなテレビ番組を、すぐそこで話をされているように楽しく、そして、世界で起きるさまざまなことがらを臨場感と共に、忠実なる再生を行っています。 10年近くにもなる、この人間的なこころの動きを伴う体験とは、それだけで投入金額に見合う満足感のあるものでありますし、また、それらを通して得られた知識や心持ちは、一芸術家が新たな価値を生む力へとも、つながっているように思えます。
品質管理が徹底した日本製品は、高性能、そして、とても「堅牢」 なのであります。
■ 追伸2 上記の追伸から2ヶ月を待たずして、思わぬ良い知らせを聞くところとなりました。 なんと、生産中止となっていた、室内向け高品質オーディオ・スピーカー
「ダイヤトーン」が、復活することとなりました。 これは、かのトレンド転換から2年、2005年という年の、多層的な変化を表す事象のひとつでもあることなのでありましょう。 2005/12/22
ニューモデル 受注生産開始! |