古今東西を巡る総合芸術表現シリーズ 世界芸術列伝 第133話 2004/05/18公開 |
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■ 国や地域には、それぞれ、培われてきた文化がある。
ここ2回のお話では、ドイツ的なものの考えや、欧州連合が拡大していく様子について触れた。
合理性と、理念に導かれながら、ものごとが構築されていく、そんな欧州をみるにつけ、快い感動を覚えた方も、多かったのではないだろうか?
今日は、これについて理解を深めるためにも、わたしたちの住む日本について、考察してみたい... Page
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柳澤 徹 ドイツ 1998・11 #49 ローテンブルク
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日本の、ものの考え方とは、カオス的だと表現すると、それがなんとなく、見えてくるかもしない。
超人・偉人によって生み出された理念が、行動規範となって、社会が構築されているのではないようである。
目指す方向性は、明確ではなく、また、戦略という言葉も、いまひとつ馴染んでいない。 また、あいまいな
「世間」というものを、行動規範としている、ふしもある。
だが、たとえ、全体を貫くような理念が、欠落していたとしても、この社会の仕組みは、とても精緻なのである。
個々のひとが持つ、細やかな感情と、まごころには、目に見えるもの、耳に聞こえるもの、文字で読めるものに、敏感に反応する、感性の力がある。
これらが原動力になって、自分たちの周囲に、実に洗練されたコミュニティを、自然発生的に作っていく。 そして、それらが、複合的に合わさって、日本社会ができているようにも見える。
そこで、このコミュニティに焦点をあててみる。 もし、これに理念を与えることができたら、どうだろうか?
個々のひとが持つ良い力と、洗練された仕組みを作る文化を、善意ある良い目的へと、方向づけることができるとしたら...
なにか夢のような話をしているように聞こえるかもしれないが、これを実現しているものは、身の回りに、たくさんある。 それは、企業のことである。
とはいえ、企業が、自らの理念を人間性あふれる魅力的なものに、設定できたかどうかで、規模の大小に係わらず、良い結果をだすものも、そうではないものも、玉石混合ではある。
現時点でいって、個々と文化の持てる力を、もっとも良い形で具現化させている企業は、自動車のトヨタであろう。
コミュニティを、より良いものにするため、構成する個々のひとたちが、常に改良を重ねていく文化 「改善」の、元祖の会社だ。
グローバルな展開を、古くから行っていることもあり、また、しばしば、組織研究の対象となってきたこともあって、「カイゼン」という日本語が、海外でそのまま通じることも有名だ。
この、常に自らを改良し続ける、トヨタ
というコミュニティから産み出されるモノには、ごまかしはない。 また、細部に至るまで、様々な気遣いがなされ、ユーザーを喜ばせる。
その品質の良さは、世界から、信頼を得ているのである。
また、トヨタのほかにも、この文化を持つ企業は、大小問わず多々あり、それぞれ、信頼を築いている。 |