古今東西を巡る総合芸術表現シリーズ 世界芸術列伝 第231話 2016/05/23公開 |
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ベートーヴェン 交響曲
第7番 イ長調 作品92 Ludwig
van Beethoven Symphony No. 7 in A major, Op.
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■ この世にあるものごとを、おおまかに2つに分類するとしたとき、その方法はいろいろとある。 目に見える、目に見えないで分けるのも、そのひとつだろう。
わたしたち人類は、目には見えないものであっても、器用に使いこなす才能に、いにしえの昔から恵まれていた。 目には見えないもののひとつに言葉があるが、それを使うことが、人類を人類として特徴付けてさえいる。
現代では、微生物の働きによって成されることが解かっているのが、「発酵(はっこう)」である。 人類は、その目には見えないものによっているにも関わらず、いにしえの昔から、それを器用に使いこなし、食生活を豊かにしてきた。
パンがふっくらとしているのは、発酵の作用による。
テリヤキの味としても人気の醤油や、その健康増進効果によっても知られる味噌も、発酵食品だ。
そして、お酒もこの発酵の作用によってできる。
さて、目には見えないのであるが、わたしたちのこころや気持ちを高揚させたり、さまざまな豊かな情感へと導いてくれるのが、そう、音楽だ。
今日は、ベートーヴェンの交響曲第7番を聴いてみよう。 お酒で例えたとしたならば、コニャックのナポレオン級の作品だ。
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ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)作曲
交響曲 第7番 イ長調 作品92
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作曲時期:1811-12年 初演:1813年 |
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■ 第1楽章
曲を聴くひとは、この冒頭の一音で、どこかに持っていかれる。 それはおそらく、「平和」と「喜び」の境地である。
そして、曲が展開にするにつれて、聴くひとの身体の中に、力がみなぎってくる。 より詳しく表現すれば、忘れかけていた輝きが、よみがえるといった感じだ。
■ 第2楽章
やや控えめであるように聴こえながら、この第2楽章が持つパワーは、すごい。 「死者も生き返らせる」と、評されることもあると言う。 交響曲第7番は、ベートーヴェン自身による指揮で初演され、この第2楽章がアンコールされた。
■ 第3楽章
かろやかなステップを踏むような音楽である。 楽しい時間を過ごそうと、親しげに、ひとを、誘っているかのようだ。
■ 第4楽章
躍動感にあふれた、ノリが良い楽章である。 酒宴ということであれば、二次会へと、ながれこんだ感じである。
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(C)
柳澤 徹 神奈川・鎌倉 2016・5 #1 名勝
瑞泉寺庭園にて 写真
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● 鎌倉にある瑞泉寺(ずいせんじ)は、1327年に、夢想疎石(むそうそせき
1275-1351)により創建された寺である。 その庭園も疎石の作意により、同じころに造られたと見られている。 凝灰岩の岩盤を堀り、池を成し、堀り残した部分を、島としている。 また、岩壁には、ひとが座禅をするための、洞窟が穿たれている。 それでは、その禅によって至る、境地とは何ぞや。 笑う門には福来るか。
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