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古今東西を巡る総合芸術表現シリーズ 世界芸術列伝 第205話 2008/08/08公開

画家 アンリ・マティス   金魚 / フォーヴィスム


 宇宙へと人類が進出したのは、1960年代のことである。 その試みの過程において、宇宙から届けられたものの中でも、暗闇の中に浮かび、青いヴェールをまとって輝く地球の画像ほどに、広くひとびとの想像力を励起させ、新たな概念をもたらしたものは、それほど多くはないだろう。

「これが、わたしたちが住んでいる地球なのだなあ。 美しいものだ」。

ひたすらの感動は、ひとびとに大いに満足をもたらした。 だが、そのあとでひとびとは、あることに想いが至ったという。

「この美しい青のヴェールとは、なんとも薄い、膜のようなものであることか! われわれはみんな、この中で生活しているんだよなあ」。

地球環境保護についての人類の意識は、このようにして芽生えたといわれている。


当時、宇宙への進出計画に、直接的に関わったひとたちの中で、自分たちの遂行したことが、地球環境保護の意識を芽生えさせることになろうと想像していたひとが、どれだけ存在していただろうか? おそらくは、皆無かそれに近かったのではないだろうか?

未知の新たな試みの成果が、派生的に、どのような意識を誕生させるのか。 それは、ものごとの実行前には、なかなか想像しがたいものである。 それは、わたしたち自身の生の歩みの中でも、経験的に理解されていることなのかもしれない。

「やってみなけりゃ分からない」というフレーズと共に。


ここで、手を眉のあたりへとかざして、美術の歴史を見回してみたならば、20世紀の巨匠、アンリ・マティスほどにいち早く、前述のフレーズの感覚を、拠って立つところのように考えたひとは、そうは多くはなかったことに気がつく。

彼ならば、こう言ったかもしれない。 「そりゃ、やってみなけりゃ分からない。 キャンバスに色を置いてみないと、はじまらないものさ」。

絵画の制作において、マティスは自らの色彩感覚が、キャンバスの上で喜ばしくなるように色を加えた。 それゆえ、彼がその筆を置くときキャンバスは、喜ばしく響きあう色彩たちでもって、楽しげな様子になった。

たとえば、次のリンク先で参照できるこの作品、『金魚』のように。

 アンリ・マティス(1869-1954) 『金魚』 1912年 油彩  ロシア プーシキン美術館所蔵

 

温室のような場所であろうか? いくつも種類の植物が生い茂り、花も咲いている。 中央には足の小さなテーブルがあり、その上に植木と、ビーカーを大きくしたような円筒状の水槽が置いてある。

視点が複数、用いられているのは、近代絵画の父、ポール・セザンヌの影響だ。


絵の中のふたのない円筒状の水槽には、水が8分目に入っている。 そして、4尾の金魚が、時を忘れたかのごとくのようにして、水中に浮かんでいる。 水面には、光の屈折による金魚の像も、描きこんである。

作品において、金魚の赤は、力強く、そして喜ばしく輝いている。

金魚を描くのに用いられている色は、たしかに鮮やかな赤である。 だが、いくら鮮やかであったとしても、もし赤が一色あるだけでは、これほどまでに輝かないし、喜ばしくもならない。

ここにマティス芸術の本質がある。

赤色の補色であり、画面の多くに散らされた緑色、要所に展開する黄色、テーブルや画面上部にあるピンク、そして、テーブルの周りを引き締めている黒。 これは、見えた色そのままに描いたのではない。

描くにつれて、マティスの色彩感覚がキャンバスの上に開放されていき、喜ばしく輝くにはどうなっていけばよいかを探った結果として、これらの色が、選択されているのである。


さて、アンリ・マティスは、1869年、北フランスで生まれた。 教育については、はじめ法律を学ぶが、盲腸炎による療養中に、絵画芸術に興味を持ち、美術学校で学ぶことになる。

1892年には、豊富な文学的素養を背景に、宝石のようにきらめく緻密な作品を創りだしたことで知られる画家、ギュスターヴ・モロー(1826-1898)に師事をする。

アカデミックな環境の中で励み、知性的であったマティスは、過去の巨匠の模写も熱心に行った。

はじめ写実的であったマティスの作品が変化していくのは、先にも挙げたポール・セザンヌ(1839-1906)や、ポール・ゴーギャン(1848-1903)、そしてヴィンセント・ヴァン・ゴッホ(1853-1890)の絵画を研究するようになってからのことだった。

さらには、ポール・シニャック(1863-1935)らの点描絵画にも興味を持ち、マティスは、大胆で自由な色使いを身につけていくことになる。


1905年の展覧会に出品した作品を観た批評家が、原色を多用する色彩感覚や、激しいタッチについて、「あたかも野獣の檻(フォーヴ)の中にいるようだ」と評したことから、同傾向の絵画を描いていたモーリス・ド・ヴラマンク(1876-1958)や、アンドレ・ドラン(1880-1954)と共にマティスは、「野獣派(フォーヴィスム)」の画家と呼ばれることになった。

このフォーヴィスムの運動はおおむね、3年間ほどの出来事であった。 それは、絵画を、ものの形態の追求から開放し、色彩が創り出す響きによって表現されるものにした。 それは、短かったが激しい、美術の革命であった。


「革命」遂行後、マティスの作風は、穏やかなものとなった。

そして、わたしたちがその作品の中に、色彩の感覚が、自由に豊かに広げらていることを、画家の描く喜びと共に感じとることができる絵画芸術が、生み出されていくこととなったのであった。

 
 
(C) 柳澤 徹  東京・池袋 2006・3 #4  『噴水〜水の喜び』  写真
 

(C) 柳澤 徹  東京・池袋 2006・3 #4
『噴水〜水の喜び』  写真

 
 

● 野獣のような勢いで、噴き上げられる水。

そのとき造られる形態とは、その周りにたたずむひとたちに、実際に、情動をもたらすものである。 たとえば、「清涼感を伴う美しさである」と。

しかし、それらは、水の運動量、表面張力、地球の重力、風の具合などによって、絶えず変化しとどまらない。

形態があるようでも、ないようでもある境界域に「美」が存在することでは、フォーヴィスムと共通するものがあるのが、噴水であることだ。

 
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